概要
臨床検査は、医師が病気の診断や治療方針を決め、経過を診るうえで欠かすことができません。私たち臨床検査技師は、当科の理念「患者さんの権利の尊重をプライバシーの保護に留意し、良質で迅速な検査を実施するよう努めます」に基づき、24時間緊急検査体制で検体や患者さんの身体から得られた検査データを正確かつ迅速に提供しています。また、患者さんに安心安全な検査を提供できるよう、スタッフの知識・技術向上のため、認定資格を取得するなど検査精度向上にも努めています。他部門と共に糖尿病教室、腎臓病教室、感染対策チーム、栄養サポートチームを通し診療支援活動も行っており、患者さんに質のよい安全な医療を提供できるよう力を合わせていきたいと思います。
部門情報
検体検査センター
検体検査(けんたいけんさ)とは尿、⾎液などの人体から排出、採取されたものについて、成分分析や微生物の有無等の検査を行うことです。検体検査には、一般、細菌、生化学、血液、輸血分野があります。
採血・一般検査
採血室では外来患者さんの採血を担当しています。朝8時から4〜5人のスタッフで採血しています。
一般検査室では主に尿検査を行っていて、腎臓や膀胱、尿路に異常がないか調べています。自動分析装置で尿にタンパクや糖などが出ていないか測定し、さらに顕微鏡で見て尿に含まれる成分を詳しく確認しています。
その他、便(寄生虫や虫卵の有無)・髄液・関節液・精液などの検査も実施しています。また人工授精(AIH)の前処理の精子浄化も行っています。
細菌検査
細菌検査室では、感染症の治療のため、患者さんから採取された血液、尿、喀痰などの検体を検査しています。原因となる微生物を特定し、薬剤感受性の結果から抗菌薬情報を提供しています。
院内では、ICT(感染対策チーム)に所属し、1週間に1回、病院全体のラウンドを行い、感染対策の遵守の評価や感染防止の教育を行っています。また、AST(抗菌薬適正使用支援チーム)にも所属し、医師、看護師、薬剤師と共に毎日カンファレンスを行っています。抗菌薬の種類、量、期間が正しく使用されているかを確認しています。
生化学検査
目的物質を化学反応により発色させる比色法、電位差により物質の濃度を測定する電極法などで酵素、蛋白、糖、電解質などmg/dL(1mg/dLは1%の千分の1)単位の濃度の物質を測定しています。
免疫学的検査ではおもに抗原抗体反応を応用した化学発光法を用いて感染症の抗体、ホルモン、腫瘍マーカーなどのng/mL(1ng/mLは1mg/dLの1万分の1)からpg/mL(ng/mLの千分の1)の微量な物質を定量的に測定しています。
生化学、免疫学的検査ともに自動分析器を用いて診察前検査などの迅速性を求められる検査に対応しています。
血液検査
血液は血管内循環をしていて、全身の健康状態が常に反映される重要な検査となります。貧血や白血病など血液疾患の診断に関わる検査を行っています。
末梢血液検査(血球算定、血球形態)は血液成分の形態や量を、血液凝固検査は血液の止血機能の異常を調べています。
骨髄検査は、白血病など造血機能の異常を調べ血液専門医の診断や治療などに役立てています。
輸血検査
献血から作られた血液製剤は、主に貧血や血液が固まりにくい患者さんに使用されます。血液製剤は感染症などの検査を十分におこなって作られた製剤ですが、他人の血液であるため副作用が起きる場合があります。輸血検査室では輸血時の副作用を最小限にし、安全な輸血療法を実施するため、血液型や不規則抗体などの検査のほか、血液製剤の管理、輸血実施記録の管理などを行っています。また、輸血療法委員会で医師、看護師、薬剤師、事務員と一緒に院内の輸血療法に関わるルールなどを取り決めています。
病理検査
病理検査室では、組織診・細胞診・術中迅速診断・病理解剖を担当しています。
患者さんから採取した組織・細胞から、顕微鏡で観察可能なガラス標本を作製しています。顕微鏡で形態を観察し診断することで、病気の確定診断・病期や予後の推定・治療効果の判定等に役立てています。病理医・臨床検査技師・細胞検査士・事務員でこれらの業務を担当しています。
生理検査
生理機能検査は、不整脈の有無や種類、心筋の状態などを調べる心電図検査や、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺炎などの病気が疑われる時に行う肺機能検査などを主に行っています。他にも脳波検査、神経伝導検査、術中モニタリング、睡眠時無呼吸検査、聴力検査、健康管理センターでの検診業務など多岐にわたり行っています。
患者さんと直接接する部門であるため、コミュニケーションを大切にし、患者さんに安心して検査を受けていただけるように心がけています。
認定・資格取得者数
- 認定輸血検査技師
- 1名
- 認定血液検査技師
- 2名
- 認定病理検査技師
- 3名
- 認定一般検査技師
- 1名
- 認定臨床化学・免疫化学精度保証管理検査技師
- 1名
- 認定POCコーディネーター
- 1名
- 細胞検査士
- 5名
- 国際細胞検査士
- 2名
- 緊急臨床検査士
- 3名
- 二級臨床検査士(臨床化学)
- 1名
- 二級臨床検査士(微生物学)
- 3名
- 二級臨床検査士(血液学)
- 2名
- 二級臨床検査士(免疫血清学)
- 1名
- 二級臨床検査士(神経生理学)
- 1名
- 二級臨床検査士(病理学)
- 2名
- 超音波検査士(循環器)
- 1名
- 超音波検査士(消化器)
- 3名
- 超音波検査士(体表)
- 2名
- 超音波検査士(健診)
- 1名
- 乳がん検診超音波検査実施技師
- 3名
- 糖尿病療養指導士
- 2名
- 静岡中部糖尿病指導士
- 1名
- NST専門療法士
- 2名
- 日本睡眠学会認定検査技師
- 1名
- JHRS認定心電図専門士
- 3名
スタッフボイス
先輩の指導のもと
多くの症例を経験できる
入職6年目 職員
病理検査、検体検査を経て、現在は超音波検査を担当しています。当院の超音波検査室は、臨床検査科と放射線技術科、双方の技師で構成されています。そのため、診療放射線技師から超音波以外の画像診断(MRIやCT)も学ぶことが出来ます。更に、消化器内科や外科との症例検討会へも積極的に参加しており、他職種と関わる機会も多くあります。
私の目標は、患者さんの気持ちに寄り添いながら検査を行える技師になること、超音波検査士の資格を取得することです。私は検体検査と画像診断、様々な角度から病態を考えることを意識して、日々検査を行っています。沢山の症例を経験出来るのは、総合病院の魅力だと思います。超音波検査によって病気が発見されることもあり、とても重要でやりがいのある仕事だと感じています。科内の雰囲気は良く、同年代の技師には気軽に相談もできます。先輩の指導も丁寧で、学びやすい環境です。これからも、知識を身につけるため日々勉強しながら、沢山の症例を経験し成長していきたいです。