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ご挨拶

私が病院長になって4年目となりました。コロナ禍の中で就任し、感染対策を行いながらの病院運営は困難もありましたが、呼吸器外科の再開、肝胆膵内科の開設に加えて、放射線治療装置の更新、新たな血管撮影装置の増設、そして手術支援ロボット『ダ・ヴィンチ』の導入と当院の診療領域の拡大と機能の充実を進めることができました。今年度はさらに新たなMRI装置の導入もあり、これらによって、がん診療や脳卒中、心血管疾患の診断と治療、さらには当院の強みである手外科をはじめとした整形外科領域の診療機能の向上も期待できます。
当院の周産期母子医療センターでは、通常のお産に加えてハイリスクの出産にも対応し、NICUなど新生児診療にも力を入れています。リニューアルオープンした産科病棟では、より快適に安心して出産していただくことができる環境をつくっており、機能とアメニティーの両面で妊産婦さんと赤ちゃんをサポートしていきます。

新年早々に発生した能登半島地震では、当院の2隊のDMAT(災害派遣医療チーム)が発災後から順次能登半島の輪島市に、また全国済生会を通して厚生労働省から派遣要請があり、看護師2名が珠洲市に支援に入りました。その後も被災者の二次避難の対応を行っている済生会金沢病院に当院の看護師が交代で継続的に支援に行っています。
今回の地震では、被災した高齢者や障害者などの支援も重要で、当院の医療スタッフだけではなく済生会静岡県支部の福祉施設からも静岡DWAT(災害派遣福祉チーム)に参加し被災者の支援を行いました。済生会は全国に400以上の医療・福祉施設を持つ日本最大の社会福祉法人ですが、今回のような大きな災害では全国規模での医療や福祉の支援が必要で、全国組織である済生会が果たす役割の重要性を感じました。
南海トラフ地震の被災地域に入っている静岡でも災害対策は重要です。これまでのいくつかの大規模地震を振り返ると、地震は起こる場所によって被害の様相が異なっています。当院は静岡県の災害拠点病院の一つとして、様々な局面に備えた対策を考えていく必要があると感じています。

全国の済生会では「ソーシャルインクルージョンが根付いたまちづくり」を推進しており、地域とのつながりを大切にしています。当院では今年度も市民公開講座や済生会フェアなどのイベントを通じて、病院や済生会という組織のことを知っていただき、皆さまにとってより身近な存在になれるよう取り組んでまいります。さらに地域の医療機関や福祉施設との連携もすすめて、当院だけではなく地域で患者さんを支える体制づくりを行っていきます。
また、現在の超高齢社会における生産年齢人口の減少は、医療と福祉を担うわれわれにとってもたいへんな問題です。実際のところ医療・福祉分野では人材確保が困難な状況に直面しています。静岡の医療と福祉を担う若い世代が増えるためにも、静岡をより魅力的で人が集まる街、住みたくなる街にする必要があり、そのために当院が様々な形で「まちづくり」に関わっていくことも大切ではないかと考えています。

私が病院長に就任したときに当院が目指す姿として「患者さんにやさしく、患者さんが安心できる病院」でありたいと考えましたが、今もその気持ちは変わりません。これからも当院に来院された方に「済生会でよかった」と思っていただけるよう努めてまいりますので、よろしくお願いいたします。

2024年4月

静岡済生会総合病院 病院長

病院長 岡本 好史