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home vol.46:難聴の種類と聞こえなくなる原因

■なぜ聞こえなくなる?耳が聞こえる仕組み

耳の穴から入った音(空気の振動)は、外耳を通って鼓膜を振動させ、内側の「蝸牛(かぎゅう)」と呼ばれる器官で電気信号となって神経から脳に伝わることで、音として感じられます。

難聴の場合、原因が比較的外側の外耳や中耳にある場合は治療により改善する可能性があります。一方で、蝸牛など内耳が原因の場合には急性期を除いて治療が難しいのが現状です。

難聴の種類と聞こえなくなる原因

 

■難聴の種類と原因

音を振動として伝える働きに異常がある難聴を「伝音性難聴」と呼びます。一方、振動を電気信号にして脳に伝える働きに異常がある難聴を「感音性難聴」と呼びます。

 

伝音性難聴

▶外耳~中耳が原因の難聴

・耳垢栓塞:みみあかがつまる
・慢性穿孔性中耳炎:鼓膜に穴がある
・滲出性中耳炎:鼓膜の内側に水がたまる
・真珠腫性中耳炎:骨を溶かすできもの
・耳硬化症:鼓膜の内側にある骨が硬くなり、振動を伝えづらくなる

これらは手術を含む治療により改善できることがあります。
例えば慢性穿孔性中耳炎では鼓膜再生療法、鼓膜形成術、内視鏡や顕微鏡下による鼓室形成術など、たくさんの選択肢があります。当院では各々の患者さんの状態に合わせて最適な治療を提案しています。

 

感音性難聴

▶蝸牛(内耳)が原因の難聴

・加齢性難聴:年齢にともなうもの
・騒音性難聴:大きな音を長期間聞き続けることで起こるもの
・突発性難聴:突然起こる難聴で、明らかな原因のないもの

▶神経(聴神経や脳)が原因の難聴
・聴神経腫瘍や脳梗塞など

 

内耳よりも内側を原因とする難聴は音を感じる仕組みそのものが損なわれているため、急性期を除いては治すことが難しく、補聴器を使って聴力を補うことが基本となります。

 

■難聴を放っておくとどうなる?

難聴が自然に良くなることはほぼありません。特に高齢者の難聴をそのままにしておくと認知症リスクを高めてしまいます。
早期に対策することが一緒に暮らすご家族のためにもなります。お早めにお近くの耳鼻科医にご相談ください。

 

■健康診断の聴力検査ではどんなことがわかるの?

学校検診や定期検診では1000Hz(中くらいの音)と4000Hz(高い音)を用いて検査をしています。例えば加齢性難聴では高い音から徐々に聞こえにくくなる特徴があります。そのほか外耳や中耳に問題があることもありますので、検診でどちらか一方の音、片耳でも難聴を疑われた場合には近くの耳鼻科を受診することをおすすめします。

 

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