• 標準

背景色

病院発行コンテンツ

home vol.44:泌尿器科のダヴィンチ活用

DSC_1907_01

泌尿器科 部長
木村亮輔

医学博士/日本外科学会専門医・指導医/日本消化器外科学会専門医・指導医/日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医/日本大腸肛門病学会専門医/日本内視鏡外科学会技術認定取得(消化器・一般外科)/内痔核治療法研究会四段階注射法講習会受講修了/Certificate of da Vinci System Training as a console surgeon

 

前立腺がんの治療は今、ロボット手術が主流になっています。すべての疾患の中で最も早くロボット手術が導入されたため数多くの症例があり、健康保険もいち早く適用となっています。さらに当院では、多くの患者さんが悩まれている女性泌尿器科の骨盤臓器脱の手術にもダヴィンチを用いています。

前立腺がんの手術では、前立腺全体を摘出し、尿道と膀胱をつなぎ合わせる吻合(ふんごう)を行います。ダヴィンチでは骨盤内の狭いところに自在に鉗子を入れることができ、吻合する際の微細な動きも自在で、出血量も抑えることができます。合併症のリスクも軽減され、排尿・性機能を温存できる可能性が高まるなど、有意な効果が報告されています。前立腺全摘後に生じやすくなる尿漏れも比較的早く回復し、退院後のQOL向上にもつながります。低侵襲の手術が可能となったことで、80歳以上の高齢の患者さんにも手術という選択肢が提示できるようになりました。

腹腔鏡手術では術者が無理な姿勢になることもありますが、ダヴィンチでは腰を据えて操作でき、身体的負担が軽減されます。また、術者自身が鉗子とカメラの両方を1人で操作できるのもメリットです。

一方、前立腺がんの場合は25度ほど頭側を下げた姿勢(頭低位)で手術を行うため、脳に通常以上の圧力がかかるリスクがあり、眼圧が高い緑内障の患者さんは手術できない場合があります。

社会の高齢化により前立腺がんは増える傾向にあります。機能温存に優れたダヴィンチを活用することで、より幅広い年代の方に低侵襲で安全な治療ができるよう努めます。今後は一部の腎臓部分切除術に導入するなど、徐々に適用疾患を広げていきます。

 

 

デジタルマガジン「home Web版」一覧ページへ