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home vol.46:難聴も早期診断が大切です
耳鼻咽喉科 医長
中耳手術・耳管センター長
遠藤 志織
当科は地域の耳鼻科クリニックと連携し、入院や手術を要する患者さんを受け入れています。慢性穿孔性中耳炎に対する治療では9割以上、鼓室形成術では6〜7割の患者さんで聞こえの改善を認めます。
鼓室(鼓膜の内側のスペース)は、顔面神経、三半規管を含む内耳、脳にも近く、耳の病気が命に関わることもあり、当科ではCTやMRI、各種聴覚検査を用いて的確な診断と治療に努めています。
当科の大きな特色の一つが2020年に開設した中耳手術・耳管センターです。主に中耳と、従来あまり注目されてこなかった「耳管」という耳と鼻をつなぐ器官に着目して治療成績を上げることを狙いとしており、手術症例数を着実に増やしています。難聴を引き起こす真珠腫性中耳炎や癒着性中耳炎の他、様々な中耳炎との関わりが考えられる耳管の病気(耳管開放症、耳管狭窄症)などを含め、耳科疾患の専門治療に取り組んでいます。また当院は大型の高気圧酸素治療室を備えており、急性期の突発性難聴の治療にも対応可能です。
難聴に悩む患者さんは多くいますが、実際に耳鼻科を受診する患者さんはその中の38%程度と言われています※。手術や処置によって治療が可能な場合もありますし、根本的な治療が難しくても補聴器の装用などで認知機能の低下を抑える手だてもできますので、ぜひ早めにお近くの耳鼻科医にご相談いただけたらと思います。
※JapanTrak2022より