home vol.50:静岡済生会糖尿病チームが支えます 稲葉医師メッセージ
●糖尿病の一番の治療は「正しい理解」
インターネットには糖尿病に関する情報があふれていますが、「〇〇を食べると治る」など、我々から見たら間違った情報もたくさんあります。そうした情報を患者さんが信じたくなる気持ちはわかりますし、少しでも良くなろうという関心の表れでもあるので、我々はまずそうした患者さんに病気を正しく理解していただくことがとても大事だと考えています。当院の糖尿病チームには、管理栄養士、糖尿病療養指導士、糖尿病看護認定看護師、理学療法士、薬剤師、臨床検査技師といった様々な職種が関わっている他、様々な合併症に対しては院内の他科の医師とも連携して治療にあたっており、それぞれが専門家の立場から患者さんにアドバイスを行い、先の長い治療を支えています。
●頑張らずに続けられる習慣づけを
昔は糖尿病になると、まず食事療法を頑張って、病気が進行してきたら薬を使うという治療法が主でした。今は医師の方針にもよりますが、私は最初に薬で血糖値をしっかり下げてから食事と運動で地道に体重を落としていく方法を取っています。体重が落ちるのを待っている間に進行するリスクを減らせますし、先に効果が出ると患者さんのモチベーションにもつながるからです。最近は新しい薬が続々と登場して治療の選択肢も広がっていますが、効きすぎて時間帯によって低血糖になったりと、薬だけで治療を進めるには限界があります。やはり食生活を整えることが基本ですね。とはいえ、1ヵ月100点満点の食生活をしていても翌月0点になっては意味がありません。たとえ50点でも、患者さん自身が無理なく何年も続けられることが大事です。
●私自身も「糖尿病の家系」です
実は私が内分泌代謝科の医師になった直接の動機は、家族がみんな糖尿病だったからです。糖尿病は遺伝的な要因が強いというけれど、先祖代々続いてきた食習慣の「遺伝」も大きな要因ではないかと私は思っています。毎日お腹いっぱい食べるのが家風というご家庭などはやはり糖尿病にかかりやすくなります。私は今のところ幸いにも発症していませんが、体重管理はかなり気をつけていますよ。
【地域の医療機関の皆さまへ】
当院では、病状の程度にかかわらず、糖尿病に不安を持つ様々な患者さんを受け入れています。初めて治療を受ける患者さんに病気を正しく理解していただくために、当院糖尿病チームの生活指導を受けていただくことも可能です。お役に立てることがあればお気軽にご紹介・ご相談ください。
稲葉 直之医師
内分泌代謝科 部長
日本内科学会認定内科医
日本内科学会認定総合内科認定医
日本糖尿病学会評議員
日本医師会認定産業医