「バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)について」のお知らせ(第10報)
本年3月8日に当院入院患者様のVRE感染症が確認され、静岡市保健所に届け出るとともに、対策を強化しております。
VREとは、ヒトの腸内にいる一般的な腸球菌のうち本来効くはずのバンコマイシンという抗生物質が効かなくなった細菌です(バンコマイシン以外の抗生物質で効く薬はあります)。健康な人が感染しても病気を起こすことはありません。しかし、免疫不全や体力の低下している患者様が感染すると病気を起こすことがあります。VREは、VREを持っているヒトの便から排出されほかのヒトに伝播していくため、手洗いが最も有効な予防策となります。
8月21日以降9月3日までに11名の方からVREが検出されました。これには全院的スクリーニングの結果も含まれております。なお、この間、新たなVREによる感染症(VREが原因となる病気)は発生していません。
5月13日からは国立感染症研究所が、静岡市保健所とともに、当院でのVRE感染の疫学調査を実施し、具体的な感染対策の提言や助言をいただいております。
これまで以上に、環境清掃や標準感染予防策及び接触感染予防策を徹底するとともに、VRE陽性の入院患者様のゾーニングを進め、全院的スクリーニング検査を継続して実施し続け感染の状況を監視してまいります。
当院で治療を受けられている患者様、ご家族の皆様並びに地域の関係者の皆さまにご心配をおかけしておりますことに改めてお詫び申し上げるとともに、感染対策の実施にご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
(2019年9月4日 静岡済生会総合病院長 石山 純三)