メディカルコラム「寝る子は育つ?睡眠が発達にあたえる影響」
ジュニアアスリート静岡(2023年9・10合併号)のメディカルコラムに小児科の朝比奈 真希 医師が寄稿しました。ジュニアアスリートは当院外来パンフレットスタンドや市内各所で配架しています。ぜひお手に取ってご覧ください。
「寝る子は育つ? 睡眠が発達にあたえる影響」
日本のこどもの睡眠時間は諸外国と比べてかなり短いことが指摘されています。さらに、乳幼児期と比較して就学後は、友だちとの付き合いやゲーム、スマートフォン、インターネットの使用、塾通い等が睡眠習慣を乱す原因となり、生涯の健康に影響します。
2015年にアメリカの国立睡眠財団(NSF)が発表した年代別の推奨睡眠時間では、6~13歳の学童児で9~11時間、14~17歳の思春期で8~10時間とされています。成長期のこどもは睡眠中に成長ホルモンが分泌され、神経や骨、筋肉の形成を手助けして、成長に密接に関わることが分かっています。ほかにも、睡眠時間が短いこどもでは多動性や不注意、忍耐力の低さといった行動の特徴や、肥満、学業成績の低下につながることが指摘されています。「寝る子は育つ」は科学的に証明されており、睡眠習慣を妨げる環境を取り除くことが大切です。日中のスマートフォンやゲームの長時間使用や、寝る直前の使用が睡眠を妨げる環境のひとつですが、ほかにも両親の遅い就寝時間や20時以降の外出習慣などのライフスタイルもこどもの睡眠に影響します。良質で十分な睡眠のために、家族全員でライフスタイルを改善することが重要です。
また睡眠障害の原因として、アデノイド肥大による睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群などが隠れていることがあります。ライフスタイルの改善後も、睡眠不足が続く場合は医療機関への受診を検討してください。
小児科
朝比奈 真希