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Home vol.38:DOCTOR'S VOICE VOL.58 形成外科

形成外科
山口 智彦
科長/形成外科一般/乳房再建

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DATA.1
傷ややけどなど、人の外見に関わる治療を行うのが形成外科。当院ではベテランから若手まで3人の医師が活躍しています。科のリーダーを務めているのが、今年4月に当院に赴任したばかりの山口智彦医師です。

DATA.2
工学部で化学を学び、卒業してから浜松医科大学医学部に入り直したバイタリティの持ち主。浜松や大阪で形成外科医として経験を積み、この4月から現職。趣味はゴルフなどアウトドア系。


 

治りにくい傷の治療に
挑んでいます

 形成外科を目指したのは、駆け出しの頃に形成外科で何でもできるすごい先生と出会ったのがきっかけでした。外科など人の命に関わる診療科とは違って、形成外科は関節などの機能や見た目の改善を図ることによって、患者さんの生活の質を上げることを目指す科です。自分がした治療によって確実に良くなって家に帰っていただくことができる仕事だと、学生時代は思っていました。
 でも実際は、形成外科の扱う外傷や褥瘡(床ずれ)、糖尿病の患者さんに見られる足壊疽などは、完治が難しいことが多いんです。現在の医療技術では、太い血管をつなぐことはできても無数にある毛細血管を一つ一つつなぎ直すことはできません。それでも、患部を洗えるくらいまで改善に努めて自宅で生活できる状態を目指し、治療に取り組んでいます。
 特に糖尿病の患者さんは、血管の損傷が治りにくい上に痛みを感じにくいため、知らない間に傷や褥瘡ができて悪化することも少なくありません。ご家族などが普段から患者さんの見た目をよく見て、早めに見つけることが大事です。
 内科的な医療が進歩して人々がどんどん長寿になっている昨今ですが、その半面、命に別条はなくても生活の質を大きく下げるような症状は逆に増えているように感じますね。

皮膚の外科でもあり、
心の医者でもあります

 形成外科は皮膚の外科ともいえますが、ある意味で精神科的な側面もあると思っています。例えば乳がん患者さんは、がんと知らされた上に生まれ持った乳房を手術すると知り、本当に辛い思いをされます。それでも乳房再建術を同時に行うことで見た目の変化による喪失感を和らげることはできます。患者さんが前向きになれるよう、心も支えていきたいと思います。
 当院に赴任してまだ1カ月ですが、当院の手外科には微細な血管を顕微鏡でつなぐマイクロサージャリーという治療技術があって、興味を引かれています。一緒に治療に参加させてもらって形成外科の治療に活かしたいですね。

MINI Voice:えっ、やけど!? 病院に行くより、まず冷やしましょう!

やけどをしてしまったら、すぐに冷やすことが一番大事。すぐでなければ効果は薄れてしまいます。
5分でいいからシャワーなどで水をかけ続け、それから病院を受診してください。その後の治り方が違ってきます。

 

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