Home vol.41:正しく恐れる脂肪肝 〜「脂肪肝」を知る〜
若くても、肥満でなくても、お酒を飲む習慣がなくても、脂肪肝になる人が増えています。
放っておくと肝硬変や肝がんのほか、心筋梗塞や乳がんなどにつながるリスクが。
よくあることと放置せず、まずは知ることから始めましょう。
脂肪肝はなぜ起こるの?
お酒の飲み過ぎによる脂肪肝はよく知られていますが、お酒を飲まない人でも脂肪肝には要注意です。適正飲酒量内の脂肪肝の人のうち約10%がNASH(非アルコール性脂肪肝炎)と呼ばれる肝炎に進行し、さらに肝硬変や肝がんを引き起こすケースも少なくないことがわかってきました。NASHを引き起こす原因の多くは脂質異常や高血糖といったメタボリックシンドローム(以下メタボ)です。メタボが改善されれば脂肪肝も良くなっていきますが、自覚症状がないからと放っておくと、気づかない間に治療が難しい病気に進行してしまうかもしれません。
脂肪肝が進行するとどうなるの?
肝臓に脂肪がたまって働きが弱まってくると、肝細胞が炎症(肝炎)を起こして壊れ始めます。壊れた部分に線維質ができて硬くなるのが「肝硬変」。肝臓の働きが保たれているうちはまだ改善可能ですが、さらに進行すると「非代償性肝硬変」といって肝機能が元に戻らなくなり、命に関わります。また、肝炎や肝硬変から肝がんを発症するリスクも高まります。
他のどんな病気につながるの?
非アルコール性脂肪肝の多くはメタボの結果として生じるもの。つまり脂肪肝の人は糖尿病や高脂血症、高血圧を合併し、心筋梗塞などメタボを原因とする病気にかかりやすいといえます。さらに、大腸がんや乳がんなど他の臓器のがんのリスクも高まります。脂肪肝と診断されたら他の病気を発症する危険があると考え、気がかりなことがあれば早めに専門医にご相談ください。
もしかして脂肪肝? 健康診断の数値はここをチェック!
太り気味の人は、まず体重に注意が必要です。また、血液検査ではASTとALTといった項目で異常が出たら脂肪肝の可能性があります。定期的に健康診断し、できれば腹部エコー検査も受けましょう。
【消化器内科 医長/肝胆膵内科 科長】山﨑 哲
Home vol.41(PDF)ダウンロードはこちら