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Home vol.34:静岡済生会のトータルケア 変形性膝関節症

膝の痛みを、治す・支える
中高年に多い膝の病気〈変形性膝関節症〉とは?

整形外科 医長 Dr.小倉跡夢

その痛みは「変形性膝関節症」かも

 「立ち上がる時に膝が痛い」、「膝の内側を押すと痛い」、「正座がしにくい」といった、50代〜60代に多い膝の痛み。その8割は、〈変形性膝関節症〉という病気です。膝の骨と骨の間にある軟骨が加齢とともにすり減ることで痛みが起こり、ひどくなると安静にしていても痛みます。骨粗鬆症や体重の増加によってかかるケースも多く、特に女性は閉経後に発症しやすくなります。

 

人口膝関節 「人工膝関節」に替えて痛みを軽減

 早期発見できれば、自宅での運動や投薬、注射などで症状を抑え、病状が進んでいる場合は手術という選択肢もあります。手術には骨の一部を切って角度を調整する骨切り術もありますが、当院では〈人工膝関節〉を入れる手術を年間30〜40例行っています。最近は、すり減りやすい膝の内側だけを人工関節に替える「部分置換術」が増えつつあります。異状のない部分を温存することで、患者さんの手術の負担や術後の痛みや違和感を軽減できるメリットがあります。術後はリハビリを行い、杖を使って歩けるようになって退院するまで約3週間〜6週間ほどかかります。

 

予防策は毎日の食事と運動

 変形性膝関節症を予防するには、定期的な運動で骨を適度に刺激することが大切。また、サプリメントに頼りすぎず栄養バランスの取れた食事を。骨のためにはカルシウムやきのこ類などに含まれるビタミンDを意識して摂るといいでしょう。

 

整形外科のトータルケア

治す:専門家チームがベストな医療を提供

 患者さんは病状も家庭環境もそれぞれ。治療も悩みも皆違います。その一人一人に合わせてベストな医療を提供できるよう、整形外科の担当医を中心に他の診療科や看護師、薬剤師、リハビリテーション科などの専門家が緊密に連携しています。地域の診療所とも連携し、退院後も続く治療を見守り続けます。

 

支える:退院後の生活を見据えてサポート

 膝の治療を済ませ、退院した後もスムーズに生活ができるよう、入院した直後から退院支援専門のスタッフがご本人の生活環境に応じた様々な支援を行っています。
 入院中はもちろん、退院後の不安や医療・福祉制度のご相談は地域医療センターにご連絡下さい。

 

満足した生活が送れるよう、トータルに支えます。

手術前から
リハビリスタート

 手術前にリハビリを行う理由は2つあります。
 1つ目は、手術前の膝の動きや筋力、歩き方、日常生活の状況などを確認すること。それにより手術後のリハビリがスムーズに進みます。
 2つ目は、手術前に運動療法を行うこと。それにより手術後の機能低下を最低限に防ぐことができます。また、担当療法士と顔を合わせることで、心身の変化も見守ることができ安心して手術に臨んでいただくことができます。

手術後のリハビリは
翌日から

 手術翌日から患者さんの状態を確認し、運動療法を開始します。できる限り自分で動いていただきながら、筋力の回復を促し、早期から歩く力を獲得できるようサポートします。

退院までチームで
サポートします

 毎日のリハビリでは、関節の運動、筋力トレーニング、バランストレーニング、歩行練習などを行います。手術前のリハビリを参考に、患者さんそれぞれの生活スタイルやニーズに寄り添った介入を心掛けています。
 患者さんが一日も早く回復し、手術の前よりも満足して生活できるよう、医師や看護師などと情報交換を行い、チームで支えていきます。

 

整形外科 医長
Dr.小倉跡夢
日本整形外科学会専門医/日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医

 

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