Home vol.32:DOCTOR'S VOICE VOL.52 小児科
小児科
森下 雄大
医長/日本小児科学会専門医・指導医/日本アレルギー学会専門医/
AAP公認PALS Provider/日本周産期・新生児学会公認 NCPRプロバイダー
DATA.1
今年10月、当院は静岡県アレルギー疾患医療拠点病院に指定され、他の6拠点病院や行政と連携してアレルギー診療の強化に取り組むことになりました。小児科の森下医師はそのアレルギーの専門家でもあります。
DATA.2
琉球大を卒業後、さまざまな病院で経験を積む中、当院にも過去7年間に渡り勤務。昨年4月、静岡にずっと暮らすつもりで自ら志願し当院へ。プライベートでは5人兄妹の子育てに奮闘中。
食物アレルギーのお子さんを
支えるお母さんを支えています。
子どもの頃に発症するアトピー性皮膚炎は、少し前まで食物アレルギーが原因だといわれてきました。それが最近になって、逆にアトピー性皮膚炎が食物アレルギーの原因になるのではないかといわれるようになってきました。赤ちゃんの頃、誰もがなりがちな乳児湿疹ですが、適切なスキンケアを行っていないと悪化してアトピー性皮膚炎を引き起こします。さらに室内のホコリに含まれる微量の食物タンパク質が皮膚から入りやすくなって食物アレルギーにもつながっていくのです。つまり、食物アレルギーを防ぐには、赤ちゃんの頃から肌を清潔にして保湿するスキンケアが大事だといえます。
アレルギーが厄介なのは原因がはっきりしないことです。中には血液検査でも特定できないような物質が原因になっていることがあります。その場合は食物経口負荷試験といって、少量ずつ原因らしき食材を食べていただいて反応を観察することになります。当院は市内でもいち早くこの試験を導入して実績を積んでいます。
無理なく食べられる許容量を見極め、少しずつ摂取するようにすると、徐々に食べられる量が増えていきます。ただこれは、食物アレルギーのお子さんのお母さんにとっては非常に根気の要る治療です。日々頑張っているお母さんたちを少しでも手助けできたらと思っています。
地域のために頑張ろうという
みんなの思いを感じる病院です。
当院への赴任は2回目です。いろいろな病院を経験して来ましたが、当院は職員がみんなで地域のためになる活動を盛り上げて行こうという志を持っているところが共感できて、静岡をついのすみかにするつもりで戻ってきました。広報活動も最初に赴任した頃よりずっと力が入っていますね。
小児科は以前と違い、院内一の大所帯になりました。スタッフ数が多い分、仕事に余裕ができて、専門性を発揮することができます。私も今後はアレルギーの専門医として、母親教室で赤ちゃんのスキンケアの必要性をレクチャーするなど、アレルギー症状に悩む人を一人でも減らしていく活動に取り組んでいきます。
MINI Voice:ご存じですか、「アレルギーマーチ」
乳児湿疹がアトピー性皮膚炎になり、気管支ぜんそくを引き起こし、さらに鼻炎を発症...と、アレルギーは次々に連鎖し、大人になってもつきまといます。この「アレルギーマーチ」を防ぐため、赤ちゃんの頃から肌を保湿するスキンケアをおすすめします。
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