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home vol.49:iNPH【特発性正常圧水頭症】って?当院ドクターが解説します!

脳神経外科 岩崎正重医師

iNPH(特発性正常圧水頭症)は、認知症の症状を伴う病気で、70代以上の高齢者によく見られます。認知症患者さん全体の約5%がiNPHであるともいわれています。治療が難しい認知症の中でも、手術で改善が期待できる病気です。認知症の症状があってもすぐにあきらめず、気になったらご相談ください。


●症状は?

歩行障害  歩幅が小刻みになったり、開脚気味に歩くようになります。
認知症   物忘れが増えたり、やる気が出ないなどうつ病のような症状が表れます。
排尿障害  進行すると頻尿や尿失禁などの症状も出てきます。

ご家族が気づきやすい特徴は小刻みな歩き方ですが、歩行障害が出ない方もいます。また脳の機能が全体的に低下し、ぼーっとしたり元気がなくなったりして、精神科で薬をもらってもなかなか改善しなかったという方もいます。アルツハイマー型認知症やパーキンソン病を併発していることもあり、診断が難しい病気です。

→もしかしてiNPHかも?セルフチェックはこちら


●どんな病気?

脳室を満たしている脳脊髄液が多く溜まり、大脳を圧迫する病気のことを「水頭症」といいます。水頭症にはいくつか種類があり、生まれたばかりの赤ちゃんに見られる先天性水頭症や、くも膜下出血を発端として髄液の流れが滞ることで発症する続発性水頭症などが知られています。今回お伝えしたいiNPHはそれらとは違い、加齢とともに脳脊髄液の吸収が低下することによって生じる病気です。髄液がゆっくりと溜まるため頭蓋内圧が高くなることもなく、痛みもないため見過ごされがちですが、放っておけば症状が重くなり生活に様々な支障が出てきます。

iNPHでは、脳室の中央部に髄液が溜まって黒い部分が広がって見えます。


●何が原因?予防できる?

加齢に関係していることは確かですが、原因はまだよく分かっていません。今のところは予防することも難しく、高齢になれば誰がなってもおかしくない病気です。早期発見し早期治療につなげることが大切です。

 

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