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home vol.55:「骨盤臓器脱」とはどんな病気?
当院ドクターが解説します

「出産を経験した女性の4割がかかるといわれる病気。決して珍しくありません」
女性泌尿器科/ウロギネセンター 宮下由紀恵医師
Q. 骨盤臓器脱はどんな病気?
A. 骨盤底が弱って臓器を支えられなくなる病気です。
骨盤臓器脱は、妊娠・出産、加齢などの影響で骨盤底の筋肉や靭帯が臓器を支えきれなくなり、臓器が体外に出てきてしまう、女性特有の病気です。出てくるときに痛みを伴うものではなく、お風呂やトイレで出ている臓器に触れて気づく方が多いようです。
骨盤臓器脱にはいくつか種類があり、膀胱が下がる膀胱瘤、子宮が下がる子宮脱、直腸が下がる直腸瘤と、子宮摘出後に残った腟が下がる腟断端脱に分けられます。そのうち膀胱瘤の場合は尿の流れが滞ることで腎機能の低下を招くこともあります。
ちなみに、肛門が裏返って出てくる脱肛とは異なる病気です。

Q. どのような人がなりやすいですか?
A. 閉経後の女性に多く、出産経験なども関係します。
出産経験のある女性の4割が骨盤臓器脱とも言われ、筋肉量が落ちてくる閉経後の女性には決して珍しくありません。デリケートな悩みでなかなか口に出せないだけ。妊娠経験がなくても子宮筋腫の手術をした場合や、肥満、便秘で腹圧を強くかけることが多いと発症しやすい傾向があります。咳の発作や介護などでお腹に力をかける動作が多い人も要注意です。
Q. 発症したら、どのように進行しますか?
A. さらに臓器が下りてきて座るのが困難になることも。
最初のうちは下りてきた臓器が座ると押し込まれますが、ステージ4になると椅子と体の間に臓器があって座ることも難しくなります。膀胱脱や直腸瘤の場合は頻尿や排便困難を引き起こすこともあります。多くの場合ゆっくり進行しますが、転んだり咳き込んだりしたときに一気に下りてくる場合もありますので、膣周辺の異物感や下垂感に気づいたら早めに受診しましょう。
【骨盤臓器脱の進行】
| ステージ1・2 (Ⅰ期・Ⅱ期) |
⇒ | ステージ3 (Ⅲ期) |
⇒ | ステージ4 (Ⅳ期) |
| 軽度の違和感や下垂感。骨盤底筋体操などで改善が期待できる。 | 膣から1cm以上出ている状態。手術の対象に。 | 臓器が2cm以上出ている、もしくは完全に出ている状態。 |
