Home vol.38:DOCTOR'S VOICE VOL.59 皮膚科
皮膚科
松本 賢太郎
部長/専門分野 : 皮膚科一般、アレルギー性皮膚疾患/日本皮膚科学会専門医・指導医
DATA.1
皮膚科は頭の先から足の裏まで、全身に関わる科。内臓の病気のサインが皮膚に現れることもあり、さまざまな診療科の入口的役割もあります。そんな皮膚科のリーダーを務めているのが松本賢太郎医師です。
DATA.2
県内10病院で経験を積んだ後、2005年に当院に赴任。以来17年にわたって当院の皮膚科を陣頭指揮してきた百戦錬磨のベテラン。
高額な薬を諦めていた方にも
「治験」により治療の機会を
いま当院の皮膚科では、治りにくいとされるアトピー性皮膚炎や尋常性乾癬といった病気を対象に、新しい生物学的製剤などの臨床治験に積極的に取り組んでいます。治験とは、発売前の新しい薬を患者さんに実際に使っていただいて効果などを評価検証するものです。参加にはさまざまな条件をクリアする必要がありますが、エントリーできた場合には、最新の薬を無償で患者さんに提供することができます。
生物学的製剤は、炎症を起こすキーとなる物質だけに的を絞ってブロックすることができるため、高い効果を発揮しつつ副作用のリスクが抑えられるというメリットがあります。その半面、1回の投与に数十万円かかるものもあるなど非常に高額で、良くなるのがわかっていても治療に踏み切れない患者さんが少なくありませんでした。でも治験ならお金はかかりません。期間は治験によりさまざまで、長くても1年ですが、完治までいかなくてもかなり症状が抑えられた状態で通常の治療に戻ることができる可能性があります。当院で実施するのは発売直前の最終治験ですので、安全性はまず問題ありません。
我々皮膚科医にとっても、優れた薬を先取りして経験できるのは利点です。大学病院で行われているような臨床治験を当院のような総合病院で行うのは県内では珍しいのですが、治験に力を入れている病院として認知されるよう実績を重ねていきたいと思います。
通院控えが悪化の原因に。
早めに受診し継続的に診療を
当院では手術を伴う悪性腫瘍の治療から、顔のシワやしみなどの美容皮膚科的な治療まで、幅広く行っています。わきの下の汗を軽減するボトックス治療も数多く行ってきました。総合病院の皮膚科として幅広く患者さんに対応できるバランスが大切だと思っています。皮膚科は患者さんが多い科ですが、限られた時間の中で、できる限りわかりやすく説明するよう心がけています。
今はコロナ禍で通院をためらうこともあるかもしれませんが、悪くなってから慌てて受診するより、継続的な診療をおすすめします。特に、後遺症が残りやすい帯状疱疹は、発症したらできるだけ早く治療することが大切ですね。
MINI Voice:治験に興味がある方はまずかかりつけの皮膚科医にご相談を
当院以外の皮膚科に通っている患者さんも、病状に応じて当院での治験にご参加いただける場合があります。現在行っている治験は、病院ホームページで確認できます。治験に興味をお持ちの方、参加をご希望の方は、まずかかりつけのドクターにご相談ください。
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