Home vol.34:DOCTOR'S VOICE VOL.54 麻酔科
麻酔科
山本 典正
部長/日本麻酔科学会指導医/日本ペインクリニック学会専門医/
日本医師会認定産業医/昭和大学麻酔科非常勤講師
DATA.1
手術を受ける患者さんが全身麻酔で眠っている間に活躍しているのが、「命の番人」麻酔科医です。山本医師は当院の麻酔の第一人者として後輩医師を指揮し、一つ一つの手術現場にくまなく目を配っています。
DATA.2
静岡市出身。大学卒業後、大学病院で経験を重ね、2001年から当院の麻酔科を牽引。現在も大学病院で週1回行っているペインクリニック外来で「起きている」患者さんと話せるのが楽しみ。
麻酔科医は手術中の
患者さんの安全を守る「命の番人」です。
手術の前に注射する麻酔薬は、実はほんの数分しか効いていません。手術の間はガスや点滴で全身麻酔の薬をずっと体内に送り続けているんです。麻酔をかけられている患者さんは痛いとか辛いとか話したりできませんから、麻酔科医は患者さんの体にかかる負担を想像しながら、鎮痛や鎮静などの薬を臨機応変に使い分けています。
点滴や薬の調整だけでなく、患者さんの呼吸や尿の量にも目を配り、必要に応じて輸血も行います。執刀医が手術を進めている間、患者さんの身の安全を守るのが麻酔科医。その意味で、カッコよく言えば麻酔科医は「命の番人」です。執刀医が安心して手術に集中できるようにする一方で、命の危険が迫れば執刀医の手を止めて患者さんの状態を立て直すこともあります。何としても患者さんを手術室から生還させることが僕たちの仕事だと思っています。
全国的な麻酔科医不足。
周囲との協力体制で乗り切っています。
手術中の患者さんの状態は急激に変化します。当院では日々複数の手術が並行して行われていますので、担当科の先生方にも協力してもらいながら、指示出しをすることもあります。
全国的に医師不足の昨今、麻酔科医は特に足りていません。実は僕も元々麻酔科医になりたかったわけではなく、麻酔について学んでから他科に移ろうと思っていましたが、結局は麻酔専門医としての立場から幅広い診療科に携わるようになりました。当院に赴任した当初は1人しか医師がおらず、やむなく他科の先生に助けていただいたりしていました。幸い、今では僕が教えていた研修医が戻ってきてくれたりして協力体制が整ってきています。麻酔科医になった研修医も数人いますので、将来に期待したいですね。
MINI Voice:安心の手術のために。当院には麻酔科医がいます。
当院では患者さんの麻酔を担当する医師が事前説明を行います。あまり詳しく説明しすぎて患者さんの不安を煽るよりも、安心していただくことを心がけています。手術室で眠っている間も、患者さんの安全は私たち麻酔科医が守ります。安心して手術に臨んでください。
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