home vol.49:「ご家族の気付きが大切です」専門医メッセージ
脳神経外科 部長
岩崎正重医師
Masashige Iwasaki
日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医・指導医
日本神経内視鏡学会技術認定医
iNPH専門外来を開設しています
特発性正常圧水頭症(iNPH)は、アルツハイマー型認知症などと比べて一般に知られていないため、認知症の症状があってもiNPHを疑う人が少なく、実際に治療しているのはiNPH患者の1割にも満たないと言われています。進行してからでは回復の可能性も低くなってしまいますので、一般の方はもちろん地域のクリニックの先生にももっと知っていただきたいと、当院では2020年からiNPH専門外来を開設しています。
手術を受けて趣味の油絵を再開した患者さんもいます
手術する前は家に引きこもっていた患者さんが、治療後には庭の手入れをするようになったり、趣味だった油絵を再開したと絵を持ってきてくださったり、中には認知症も歩行障害も良くなって運転免許が無事に更新できたと非常に喜んでいた方もいます。患者さんやご家族からそうした声を伺うと、医師としてもやりがいを感じますね。
この病気は多くの場合、1〜2年も放置していたり、いろいろな症状が出てから受診する患者さんが多いので、初診の際の問診ではこれまでの経過や症状をじっくり時間をかけて伺っています。歩く姿や顔の表情にiNPHの特徴が出ているのに、本人は何ともないと言うケースも多いですね。だからこそ、この病気はご家族の気づきが大切です。いつものかかりつけ医の先生にご家族から「iNPHではないですか?」と相談してみてもいいと思います。
「うちの家族はiNPH?」といった気づきがもっと増えていくよう、当院では地域連携室と連携して公開講座や新聞などでのPR活動に力を入れています。治せる症状は治して、健康寿命を延ばしていただきたいと思います。